この記事は、法人営業でよく使われているBANT条件に関してまとめたものです。具体的には、はじめにBANT条件とは何かを説明し、次に実際にBANT条件はどのように使われているか、最後に営業現場でのBANT条件のおすすめの活用方法をご紹介していきます。こちらの記事を通して、営業現場でのBANT条件のフレームワーク活用のヒントを得ることを目標にしています。
では早速具体的にみていきましょう。
まずはじめに、BANT条件とは何かを簡単に説明します。
BANT条件とは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字を取ったものです。その案件がどのような状態かをヒアリングする際や、案件の見込みの角度を見極めるためのフレームワークです。それぞれの項目の詳細みてみましょう。
顧客が持っている予算枠になります。
具体的には、予算の有無や予算枠の大きさです。
決裁権の有無、決済フローになります。
法人としての決裁権を持っているのは誰か、また決裁フローは通常どのようなフローか。
企業として、サービス導入の必要性を感じているか。
担当者が個人的に必要性を感じているのか、部門として必要性を感じているのか、会社として必要性を感じているのか。
導入時期はいつ頃か。
導入時期が明確に決まっているのか、それとも目処なのか、未定なのか。
こうしてみると、確かにBANT条件の全ての項目が埋まっている案件に関しては、見込みとしてかなり角度が高く、受注の期待ができそうですね。
先ほど見たBANT条件は実際に企業でどのように使われているのでしょうか。ここでは、BANT条件の活用方法を見ていきます。
主にマーケティングのチームでの活用方法になります。展示会などでリード獲得時にアンケートをとり、そのアンケート項目にBANT条件の質問を入れておき、リードのランク分けを行います。例えば具体的に予算化されており、導入時期が半年以内で考えている案件は角度Aのリードため、個別アプローチをとり商談機会を設定するなどです。
活用①ではマーケティングのチームでの活用でしたが、こちらは営業のチームでの活用になります。営業訪問の際にBANT条件のヒアリングを行い、Budgetが明確に設定されているな
案件に関しては見込みランクAにするなどです。反対にBudgetが明確に設定されておらず、Needsも担当者が個人的に必要性を感じている案件に関しては見込みランクDで深追いはしないようにするなど。
活用②と少し被りますが、BANT条件はヒアリングの項目のフレームワークです。そのため、営業にまだ不慣れば新人営業のヒアリング項目として活用している企業もあります。
新人がヒアリングしてきたBANT条件を元に、マネージャーが個別に案件への指示を出すなどです。
BANT条件をヒアリングし、埋まっていない項目を埋めるためにはどのようなことができるかを考えていくための判断を行うフレームワークとして使用します。
こちらで挙げた活用の仕方はあくまで一例であり、この他にも様々なBANT条件の活用の仕方があります。また、BANT条件はそのままでもある程度使えますが、自社でこのフレームワークを使用する場合は、自社の営業に合わせてBANT条件の内容を調整した方が扱いやすいと思います。
では、最後に営業現場でのBANT条件のおすすめの活用の仕方をみてきましょう。
ここからおすすめのBANT条件のフレームワークの具体的な活用をご紹介しますが、前提として事業フェーズや企業やサービス内容によって、適した活用は異なります。その点だけ予めご了承頂ければと思います。先ほどあげた4つの活用のうち、BANT条件のフレームワーク”活用④:ネクストアクションの判断基準で使う”ことがおすすめです。
以下おすすめの理由になります。
BANT条件のフレームワークをヒアリングし、BANT条件の満たさない項目をどのような提案を行い埋めていくかを考える作業が発生するため、商談を前に進める力が身に着きます。もちろん、最終的には意思決定は顧客が行うことなので、顧客を100%コントロールすることはできません。
質の良いリードがどんどん入ってくるフェーズであれば、BANT条件を元に条件が合致しない案件を切り捨てても良いと思います。しかし、新規リード獲得の予算にも限りがあり獲得リード数も限られているフェーズだと、質の良いリード数を担保するにも限界があるため現在保有しているリードの質を自分であげていくしかありません。BANT条件を元にネクストアクションを考えると、今保有しているリードの質を高めることができるため、限られたリード数の中から必要な受注数を担保できる可能性があります。
こちらに関しては共有の仕組みが別途必要ですが、BANT条件の〇〇の項目を満たしたていない案件に関しては、××のアクションをするなど、条件ごとに良いナレッジが発生していきます。このナレッジを組織で共有することで、BANT条件のヒアリング項目ごとに行うべきアクションが明確になるため、結果的に組織提案力が均質化されていきます。
では、BANT条件ごとのネクストアクションの例をみていきましょう。
この場合は予算化がされていない状態なので、担当者のみが良いと思っている可能性が高いです。組織的にはサービス導入の検討はしていません。
そのためここでのネクストアクションは、リードナーチャリングに回す、担当者に予算化の流れを確認しながら、案件化になるように提案していくなどが考えられます。
担当者に決裁権がない場合です。
この場合は決裁フローを確認し、決裁者に同席の機会をもらうなどが考えられます。また、決裁者が複数いるケース、例えば情報システム部、現場のマネージャー、経営企画部などの複数の部署の決裁が必要な場合、それぞれで決裁部門でサービスに求める内容が異なります。例えば、情報システム部はセキュリティに関して、現場のマネージャーに関しては業務にどれだけインパクトするか、経営企画部は全体をみたときにどれだけインパクトするかなどです。こういった場合、汎用的な提案資料ではなく各決裁部門ごとに個別提案資料を用意することがおすすめです。
必要性を感じていないケースです。
この場合、そもそもサービスの必要性を感じていないので、必要性を感じない理由をヒアリングし再提案するか、またはサービスが顧客ニーズに合致しないので失注に回すなどが考えられます。
導入時期が未定の場合です。この場合、導入時期が明確にならない理由があるので、それをヒアリングして明確にするなどが考えられます。
まとめると、BANT条件とはBudget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字を取ったものであり、顧客の状況をヒアリングする際のフレームワークです。
使い方としては、①リードのランク分け、②案件のランク分け、③新人営業担当者のヒアリング項目、④ネクストアクションの判断基準として、4つの利用が一般的です。
BANT条件のフレームワークはうまく活用できると強力な武器になりますので、ぜひ自社の営業に合うような形に調整し使用してみてください。