目次
この記事では、営業部門とカスタマーサクセス部門が連携を行い、受注数を前月比20%増加させた組織の部門間連携のポイントをお話ししていきます。
こちらの記事は以下のような方におすすめです。
・部門間連携をうまく行うためのヒントが欲しい
具体的な事例の部門間連携のポイント説明になるため、以下のような情報を求めている方には物足りない内容だと思います。
・部門間連携に関して、うまくいかない原因が知りたい
・部門間連携するための理論を知りたい
これらの情報をお求めの方は、「セクショナリズムの2つのタイプとは?弊害と原因への5つの対策を解説」の記事をご覧ください。
また、サッとポイントのみを知りたいという方は最後の「まとめ」のみをご覧ください。
この記事での登場人物(会社)は以下になります。
・A社:ネット広告を取り扱う会社
・Bさん:新しい営業部門のマネージャー
・Cさん:カスタマーサクセス部門のマネージャー
では内容をみていきましょう。
結果として受注数を前月比20%増加させた部門間連携ですが、ポイントは全部で5つあります。以下、ポイントと具体的な詳細を順を追ってみていきます。
まず最初のポイントは部門間の責任者同士が協力したことです。
Bさんが会社から与えられた目標は、前任の営業部門のマネージャーより受注件数の15%増でした。受注件数を伸ばすためには、新規の商談設定数の増加が必要です。広告費も追加投入することができなかったので、Bさんは既存顧客からの紹介で新規商談数を伸ばすことを選択します。
A社内で一番既存顧客と接触している部署はカスタマーサクセス部門だったので、カスタマーサクセスのマネージャーであるCさんに協力を依頼します。最初は依頼を渋るCさんでしたが、次に説明する互いの部門の目標を共有し相互理解を深めたことで最終的にBさんに協力します。
株式会社日本能率協会コンサルティングのアンケート結果にも出ているのですが、部門間のコミュニケーション不足は役員から一般社員の全ての階層で共通の課題です。
しかし、実際に部門間のコミュニケーションを行っている人間(行える人間)は部長職以上になります。そのため、部門の責任者同士でないとそもそも部門間で連携することはできません。
今回のケースでは、まず営業部のマネージャーであるBさんが、カスタマーサクセス部門のマネージャーであるCさんに直接交渉を行った点がまずポイントになります。
先ほど述べた通り、Cさんは最終的にBさんに協力しますが最初は協力を断ります。
提案を断られたBさんは、Cさんに理由をヒアリングしていきます。
ヒアリングを進めていくとCさんが協力を断った背景には、Cさんの部門が会社から与えられた目標がはありました。Cさんが会社から与えられていた目標の一つは、申込を行ったお客様がキャンセルすることなくサービス開始になるよう、申込からサービス開始の転換率を97%以上の水準にするためのお客様サポートを行うことでした。
しかし、元々の転換率は90~95%が平均です。そのため、Bさんの依頼を受けこれ以上受注件数を増やすと、リソースの兼ね合いもあり転換率がさらに下がる可能性が高いため、Bさんからの依頼を断らざるをえない状態でした。
ここでのポイントは、他部門の目標をBさんが把握しようとした点と、Cさんもきちんと伝えた点がポイントです。
この話を聞いたBさんは、営業部門でカスタマーサクセス部門に協力できることはないか考えます。そしてCさん対し、キャンセルになりそうな案件に関して営業部門に差し戻しを行い、営業部門がお客様に再度サービス説明を行うことで転換率向上を営業部門でも追う形を提案します。
カスタマーサクセス部門は新人のメンバーも多く、複雑なサービス内容まで対応できるスタッフも少なかったためこの提案はCさんにとってもメリットが大きい提案でした。
CさんもBさんの提案を了承し、営業部門の目標値である新規の受注件数15%増加のため、カスタマーサクセス部門に営業部門が行っている紹介をもらう方法をレクチャーさせ、紹介件数も具体的に設定しました。
このように把握したお互いの部門の目標に対して、自分たちの部門で出来ることを具体的な行動レベルまで落とし込んだことがポイントになります。
③で立案した施策をそれぞれの部門のメンバーに落とし込みます。最初にBさんから営業部門にカスタマーサクセスに新規商談増加のための既存顧客から紹介に協力してもらう点、その代わりにキャンセルになりそうな案件を営業部に差し戻して営業部門で対応する件を説明しました。
その後にCさんからも営業部門に説明してもらい、カスタマーサクセス部門ではCさんが説明を行った後にBさんが説明を行いました。
このようにそれぞれの部門長がメンバーに目的と施策を説明し、他部門のマネージャーを紹介したことでより施策の実行が徹底される結果に繋がりました。
施策を実行に移した後、BさんとCさんはメンバー同士が互いに学び合えるよう社内SNSを作ります。また、営業やカスタマーサクセスにそれぞれ同行を行い、お互いの業務を経験することで知識とスキルを交換させていきました。
このような施策を行った結果、前月比より受注件数は20%増加し、申込からサービス開始への転換率も98%になりました。
今回のケースでは、
①部門の責任者同士での協力
②互いの部門の目標の共有と相互理解を深める
③それぞれの部門目標達成のため、互いの部門目標をカバーし合う具体的方法を構築
④マネージャーから部門のメンバーへ③の内容の説明と、他部門のマネージャーの紹介
⑤部門間の交流の場を作る
の5つのポイントを実行することで生産性を大きく向上させました。
このやり方が全ての企業に当てはまるわけではありませんが、部門間で連携した方が組織としての生産性は向上する可能性が高いです。
何か部門間連携のヒントを提供できていれば幸いです。