ナレッジマネジメントに取り組みにあたり、おすすめの本を6冊ご紹介します。
ナレッジマネジメントについて体系的に学べるものから、実際の企業の取り組み例を学べるもの、情報の扱いをどう考えるべきか?集合知をどう捉えるか?などに言及したものなど、幅広い視点からピックアップしました。
目次
リクルート社の営業担当者間のナレッジをどう抽出し、整理・体系化し、システム・運用に落とし込んでいったのかを時系列で追える本です。
「現場がナレッジを出さない」
「ナレッジを共有しても、使われない」
など、ナレッジマネジメントに取り組もうとすると立ちはだかる課題をどのように乗り越えていったかも参考になります。
また、標準化しすぎることの弊害についても考慮されており、自社の文化や戦略・方向性に合ったナレッジマネジメントの取り組みについても考えさせられます。
リクルートでは社員一人ひとりが、試行錯誤して新しい答えを出してきた。「自分は顧客のために何をしたいのか」、その意思・プロセスそのものをエネルギー源としてきた。つまり、顧客に対する提案(企画書)を標準化するということは、リクルートの活力を失わせるということに気がついた。
無印良品社の、特に店舗でのマニュアル展開の仕組みについて学べる一冊です。
現場担当者が業務の中で試行錯誤して生まれた知恵=ナレッジをいかに全国の店舗に展開していくか、さらにそのナレッジをもとにした改善がされていくか、ブラッシュアップされていくかが書かれています。
「努力を成果に結びつける仕組み」「経験と勘を蓄積する仕組み」「ムダを徹底的に省く仕組み」。これが、無印良品の復活の原動力になったのです。
いわゆる「暗黙知」にフォーカスした一冊です。
ナレッジには、情報としてただ知るだけですぐに使えるものもありますが、使いこなすためにトレーニングが必要なものもあります。本書では、そうしたトレーニングや、人と人とのコミュニケーションの中でのナレッジの伝達などについても言及されています。
組織の集合知とつながり・関係性についての研究した一冊。
人はいかにして良いアイデアを発見し、意思決定や行動を実行するのか?など、
ナレッジマネジメントというと、ストック的な情報(マニュアル化するなど)の話になりがちです。しかし、実際には、フロー情報(口頭やチャットなどでのコミュニケーションを介した情報など)のやり取りにおいても、ナレッジの伝達やアップデートも行われています。
そうしたフロー情報のやり取りをどういうふうに設計すれば、より良い集合知を獲得できるのかを、様々な事例を交えながら説明しています。
いざ、ナレッジマネジメントに取り組もうとしたときに、人によっては言語化が苦手だったり、自分のナレッジをあまり出したがらなかったりすることもよくあります。
誰かの持っているナレッジを抽出するには、聞く力や質問力、ヒアリング力が必要になってきます。そのための一冊としてピックアップしました。
聞く姿勢や気持ちよく話せる場づくりなどにも言及しています。
SECIモデルで野中郁次郎氏らによる一冊。
非常にいろいろな視点からナレッジについて言及されています。
例えば、西洋組織と日本組織の違いについて、以下のようなキーワードで比較されています。
西洋組織:
形式知中心、一義的、トップのゆらぎは少ない、情報の冗長性が低い、個人間の差異による創造的カオス
日本組織:
暗黙知中心、多義的、トップのゆらぎが多い、情報の冗長性が高い、職務重複による創造的カオス
こうした違いなどを見ても、やはりナレッジマネジメントは一辺倒なものではなく、組織の文化や個人間の関係性などに合わせて設計しなくてはいけないと考えさせられます。