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前回の「全4回 ナレッジマネジメントとは?Part2-ナレッジが「共有」されない9つの理由」という記事で、ナレッジマネジメントが求められる背景、目的や効果、具体的なステップなどについて説明しました。
そこでも説明した通り、ナレッジマネジメントのステップは、「共有」→「蓄積」→「活用」の3段階で展開していく必要があります。
例えば、営業現場で競合情報に関する有用な情報が朝礼で共有されたとしても、その情報が蓄積されなければその場にいたメンバーの記憶にしか残らず、後に入社してくる人や他支店の人がその情報を活用することはできません。
また、仮にその情報が社内データベース上に蓄積されていたとしても、意図がきちんと伝わらなかったり、あるいはそもそもそのナレッジが存在することに気づかれなければ、ナレッジが有効**活用**されることはありません。
今回の記事では、3つのステップの中の「蓄積」に焦点を当てて、いざ社内でナレッジを蓄積しようとしたときに、なかなか蓄積されず失敗してしまう原因とその対策をまとめました。
この一連のナレッジマネジメントについての記事をまとめた、「ナレッジマネジメントの傾向と対策」という無料Eブックもダウンロード可能ですので、社内用のご説明などにお役立てください。
ナレッジの蓄積がうまく行かない理由は大きく2つに分けて考えることができます。一つは、チームや組織に起因する「ルールや文化の問題」、もう一つは利用するナレッジマネジメントツールに起因する「システムの問題」です。それぞれ、具体的にどのような失敗理由があるのか見ていきましょう。
ナレッジの「共有」が失敗する理由の一つとしても取り上げましたが、「蓄積」についても同様で、ナレッジ蓄積の目的が浸透していないことが失敗する原因の一つとして挙げられます。
なぜナレッジを蓄積するのか、また蓄積した結果、誰がどのような恩恵を受けるのか、といった目的やビジョンをしっかりと伝えるようにしましょう。
そして、ナレッジは蓄積するだけでは意味がなく、適切なタイミングで適切な人によって「活用」されることで初めて価値が生まれます。
したがって、「蓄積」から「活用」までをセットとしてメンバーに伝えるとよいででしょう。
ナレッジと一言で言っても、その種類は多岐にわたります。
例えば、営業担当者であれば、商談時のトーク内容や予想返答集、パターン分けされた提案資料や競合情報、あるいはマインドセットまで、実にさまざなナレッジを持っています。
ですので、はじめのうちから全てのナレッジを残すように指示するのはあまり現実的ではないでしょう。
まずは、誰にどんなナレッジを蓄積してもらいたいのかを明確にしましょう。
誰がどのようなナレッジを蓄積するのか、どのようなナレッジがチームに求められていて、どのようなナレッジは不要なのかをはっきりさせることが重要になってきます。
ナレッジの蓄積を習慣として定着させるのに難しさを感じている企業も多いようです。
特に最初のうちは、定期的に上司からアナウンスしたり、蓄積のための時間を具体的に設けたりすることで蓄積を促していくことが求められます。
そして、可能であれば通常業務の中にナレッジの蓄積を組み込んでしまうとよいでしょう。例えば、OJTが行われたら、指導を受けた側がその日のうちにナレッジとして内容をまとめ、ツール上に蓄積してしまう、などです。
また、蓄積されたナレッジについて上司・部下や同僚からフィードバックがもらえる仕組みを作ることも有効です。
せっかくナレッジを残したのに、誰かの役に立っているのかそうでないのか、意味があったのか無いのかがわからないことも習慣化されにくい要因の一つのようです。
ナレッジマネジメントツールの使い勝手が悪く、蓄積する作業に大きな業務負担がかかっていると、ナレッジ蓄積が起きない要因となります。
ナレッジマネジメントはチーム全体、あるいは全社的なプロジェクトとして取り組むべき施策ですので、多くの人にとって使いやすいツールを選ぶべきです。
また、蓄積の形式として、PDFやPowerPoint、動画、文字などあらゆる形式で残せる仕組みのものを選ぶべきでしょう。
日常業務の中でナレッジ蓄積がなされるように、習慣化を促すようなフィードバック機能があるとよいでしょう。
例えばナレッジの閲覧数などのデータが集計できると、「閲覧の多いナレッジランキング」などのように社内に通知することもできます。ツールを選ぶ際には、そうした観点にも注意が必要です。
ナレッジマネジメントに関する当連載記事の内容がすべてまとまったホワイトペーパーです。失敗を回避するポイントや導入の手順などが分かりやすくまとまっていますので、ぜひ社内での説明用などにもご活用ください。